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犬と猫の健康コラム
2021.08.30 生活

【獣医師コラム】 9月1日は防災の日 あなたの大切な家族を災害時に守れる準備ができていますか?

木村動物病院 院長 木村太郎先生に災害対策について寄稿いただきました。ぜひ参考にしていただき、万が一に備えて準備と訓練を!

暑さが落ち着いてくると、1年に1度やってくる「防災の日」。9月1日、関東大震災が起こった日に行われる、地震大国日本で全国民が災害への備え方を訓練する日です。あなたの大切な家族を災害時に守れる準備ができていますか?

災害が引き起こされると、多くの場合自宅から避難所へと避難する必要があります。

ペットと一緒に避難所へ避難することは同行避難と言われます。自治体によってこの同行避難への対応が大きく異なることから、第一に、避難所にペットが入れるか否かの確認をしましょう。ほとんどの自治体では、ホームページでこの詳細を公開しています。このご確認をしっかりすることが第一歩です。

同行避難が可能であったとしても、人間も普段より大きなストレスを抱える避難所生活では、ペットにいくつか要求されることがあります。私が診療所を開設している新宿区を例に、日常でできる同行避難ができるような工夫を考えてみましょう。

■同行避難
新宿区の場合、同行避難が可能であるのは、小動物(大型犬を含む犬、猫、小鳥など)です。また、しつけや健康管理など、平常時に飼い主が十分な飼養責任を果たしていることが前提で可能とあります。

他人との共同生活の中で、吠えてしまったり、排泄がコントロールできなかったり、1日の大半をケージの中で生活することができなかったりすると、避難所内の不協和音の元凶となってしまいます。

そこで、まず、ケージに入っていることができるようになりましょう。最初は1分で構いません、もしくは10秒でも構いません。その短時間に落ち着いていられたら、静かにできている時に外に出して褒めてあげましょう。

本当に少しずつでも時間を伸ばしていくことができるとケージに入っていることに慣れます。慣れてきたら、人が食事をするとき、夜寝るときにケージで過ごす時間を作ってあげましょう。

落ち着いてケージにいられるようになると、吠えることが減ったり、排泄のコントロールができるようになったり、思いも寄らない良い効果が得られることがあります。積極的に改善を考える場合は、ドッグトレーナーさんを頼ったり、動物病院での診察をお受けいただくことがお勧めされます。

■怪我をしてしまったらどうするの?
災害時には、主に外傷を負ってしまう可能性があります。動物病院は、災害時に閉院してしまっていることが想像されるため、ご不安になられることと思います。

新宿区は、獣医師会(東京都獣医師会新宿支部)と「災害時における動物救護活動に関する協定」を結んでいるため、各避難所などで獣医療行為を行うことが可能です。ただし、こちらも各自治体でその対応が異なるため、かかりつけ医様にご確認いただくことが肝要です。

■迷子になってしまったら?
災害時に、パニックに陥ってしまった動物は、容易に迷子になってしまいます。また、非常時は即座にその捜索を開始することは困難です。

このことから、ご連絡先のついた首輪をつけてあげることや、国際規格で製造されたマイクロチップを入れてあげることは、災害が落ち着いてからの捜索や保護先での個体識別の大きな助けとなります。

■ペットのための防災用品
新宿区が公開しているペットのための防災マニュアルでは、避難所では、「人に対する準備はしていますが、ペットに対する備えは基本的に飼い主の責任で揃えること。」とあります。準備すべきものはおよそ6つあります。

ペットの食事と水(5日間程度)
ペットのトイレ用品(ペットシーツや猫砂など)
ペットの常備薬
避難所でのペットケージ・檻・リード・ハーネス(猫にも必要です)
ペットの写真複数枚(ペットを探すときに必要です)

災害が引き起こされると、自分のこともままならないことが多くあります。近年は、ペットに対しての理解も進んでいることから、自治体により、あるいは一定の条件が達成できれれば同行避難が可能となります。

日頃の準備で、あなたの大切な家族の一員をしっかり守ることができます。

災害は、毎日どこかで起きています。直面しない限り、得られる情報の中の遠い世界に感じるものですが、明日は我が身、余念なく準備と訓練をご家族で始めてみましょう。

木村動物病院 院長 獣医師 木村 太郎

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