
ビタミンとは、体内で必要量を合成できない、炭水化物・脂肪・タンパク質以外の有機化合物のことをいいます。我々人にとって身近なビタミンの一つにビタミンC(アスコルビン酸)があげられますが、実は多くの動物にとっては、これはビタミンではありません。
体内で必要量を合成できるからです。
ビタミンCを体内で合成できないのは、人、サル、モルモット等です。ビタミンCを合成するために必要な酵素を作るための遺伝子に変異があるためです。
実は、ビタミンCがビタミンである動物の方が少数派と言えます。犬や猫は、必要量を合成できますので、犬や猫にとっては、ビタミンCはビタミンではないのです。
でも、“追加でビタミンCをたくさんあげた方がいいんじゃないの?” “与えて悪いことはないでしょ?”とお考えのかたがいらっしゃったら、是非知っておいていただきたいことがあります。
確かに、アスコルビン酸は水に溶けるビタミンなので、余計な分は尿から排泄されるのですが、体内で代謝されるとシュウ酸という尿路結石の原材料になる可能性があります。
つまり、余分なビタミンCの給与は、犬と猫の尿路結石症のリスクを高めてしまうと考えられています。信頼できるペットフードメーカーの総合栄養食を与えているのであれば、ビタミンCのサプリメントは必要ありません。
ロイヤルカナン ジャポン 獣医師、博士(獣医学) 北中 卓